作品集と日々のこと
工房猫くうさんが来た時の事をおはなししよう。
くうさんが工房に来たのは10年ほど前。おばあさん猫と一緒に暮らしていた私がふと窓を見ると、外から中の様子をうかがっている猫さんが見えた。 窓を開けると及び腰だけれど逃げない猫さん。「え?家に入りたいの?」一瞬のうちにいろんなことを考えるが、「いやまって、ちょっとまって。考えておくからまた来てね。その時にお返事するから。」と答えたえて窓を閉めたものの、もう心は飼いたいと思っていた。ただ一瞬で決めるほど自分の意見に自信が無かっただけ。翌日来ない。。。翌々日来ない。。。 さらに次の日わ!来てくれた!嬉しい!窓を開けるとすっと入って来た。人は怖いらしく入ったものの、だだだーと部屋の奥へ逃げていく。そして1畳ほどの屋根裏スペース(ロフト)が彼の陣地になった。彼の陣地へトイレと水とご飯とベッドを差し入れる。会話もない、仕切りもない、ただ彼が引きこもっているだけの共同生活がはじまった。おトイレは一回も失敗なし。だんだんとごはんの要求もするようになって、名前を考える事にした。色んな名前を呼んでみる。みー?たま?しろ?ぶち?くろ?ふと視線をくれるくろ?また視線をくれるどうやら「くろ」という名前に反応する様子。じゃあきみの名前は「くぅ」だね。 1畳ほどのロフトで過ごしているもののどうやら夜中にいろいろ探検している模様。うちにはおばあさん猫しかいないから大丈夫かな。ちなみにうちのおばあさんねこは家の外も中も出入り自由。自然いっぱいの中、お庭でひなたぼっこする毎日。一方くうさんは徐々に昼間も行動範囲を増やして1、2週間経った頃、窓際でお外に出たい様子を見せた。まだ、なでなでも出来ていない。そんなに信頼関係はない。お外に出したらそのまま帰って来ないかもしれない。一瞬にして怖くて心配な気持ちが胸いっぱいになった。でもね、私の考えは、近隣住民が居なければ猫さんは自然の中で遊んでほしいと考えているので、怖いけれど外に出たいなら。と勇気をもって出した。杞憂だった。数時間後には「入れてくださーい」のくうさんが窓の外にいた。うれしかった。その後去勢手術もして無事家の仔になって10年。そろそろ爺さんです。猫ってね。仔猫時期はとっても可愛いけれど、爺さん婆さん時期の方がもっと可愛いんですよ。 これから工房は秋か冬にはもっと田舎へ引っ越し予定です。また冒険だよ。君が家に入って来た時も冒険だったでしょう?今度は新しい土地への冒険だよ。付き合ってね。わたしからのお願いはこれからも健康に長生きしてね。ありがとうございます。